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南蛮夢想

(なんばんむそう) Exotic Dream of Nanban

中村信喬

(なかむら しんきょう) Nakamura Sinkyo
1994年
H 32.0cm W 30.1cm D 24.9cm

博多人形師中村衍涯の長男として生まれた中村信喬は、量産体制の産地にいながら既成の制作方式に自己の能力を嵌め込まない気風を祖父と父から受け継いだ。大学卒業後、京都で人形と陶彫の研鑽を積む。特に伝統工芸の代表的作家である林駒夫から創作におけるストーリー構成の重要性を、また陶の置物を創作している村田陶苑から素材としての土の「重みと強さ」を学んだことが、彼の創作姿勢の礎となった。
 制作方法は、伝統的な博多人形の制作方法を踏襲しつつ、彼の表現と密接に結びついた固有の手法として確立されたものである。原型用の土として最適の七隈の土を用いて造形し、石膏で型を抜く。中村は原型制作時の土の素材感を完成時に最大限発揮させるために、焼成には不向きな七隈の土を調整して焼成用の粘土を独自につくる。焼成後、筆で彩色し顔を描き上げて完成に至る。素地の土肌を生かすために、天然染料の夜叉や墨、岩絵の具を水で溶いて希釈し、素焼きの面に染みこませながら彩色する。
 本作品は天正の少年使節をイメージし、異国に憧れる清新な少年の志をテーマにしている。少年の眼差しは、観者の肩越し遙か彼方に向かっている。身近な歴史と風土に根ざした題材を選びながらも、人物を特定せず、衣装等の時代考証にもとらわれず、現代の感覚に根ざした人物像が爽やかに表現されている。

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