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バチスタ

(ばちすた) Batista

川端健太郎

(かわばた けんたろう) Kawabata Kentaro
2010年
H 36.6cm W 42.0cm D 27.5cm

川端健太郎は、1976年、埼玉県の生れである。身近に芸術関係の人物はいなかったが、物を作ることへの興味は若いころからもっていたという。定時制高校の建築科を卒業後、東京デザイナー学院に入学、そこで陶芸に初めて触れる。一方で、都内の美術館や博物館をめぐり、古陶磁から近代の陶芸作品まで見て歩いたという。その中で興味を持ったのが辰砂であった。辰砂は、中国で開発された還元焼成で銅を赤く発色させる技法であるが、不安定でコントロールが難しいためか、日本では古い遺品が少なく、近代以降も作品に取り入れた作家は多くはない。川端はこの辰砂を、過去の作例に捕らわれず、自身の表現ツールのひとつとして導入しているのである。
1998年、川端は多治見市陶磁器意匠研究所に入学する。当時の教諭であった中島晴美の「実験的なクラス」を体験することで、自分を出せるようになったようだ。専門学校時代にはろくろ成形が中心だったため、意識的に手捻りで制作する。しかも手捻りでは扱いが難しい磁土を、性質に即してコントロールしようとするうちに作品の形にも変化が生じたという。折れ目や合わせ目などの要所に微細な装飾を施し、砕いた板硝子を巻き込んで、焼成の際に溶けていく自然な流れを生かすなど、細かい作為と大胆な工夫によって作られた作品は、蠢く生き物のような存在感をもつ。
本作品は、底部が小さく、口縁が大きく広がった鉢型の器である。激しく流下する辰砂と溶けたガラス片が絡み合い、ダイナミックな景色を作り出す一方、縁や角には磁土による繊細な装飾が施されている。

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