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(ぺーじわん) Page 1

八木一夫

(やぎ かずお) Yagi Kazuo
1971年
H 14.5cm W 23.0cm D 16.0cm

八木一夫は、陶芸家八木一艸の長男として京都市馬町に生まれた。京都市立美術工芸学校彫刻科卒業後、沼田一雅に師事し、日本陶芸協会に入り陶彫を学ぶ。その後青年作陶家集団に参加するが1948年に同会が解散した後、鈴木治、山田光らと走泥社を結成し戦後日本における前衛陶芸のパイオニアとなる。初期は西洋近代絵画への強い関心から、近代絵画と日本の轆轤の味を調和させようとした器物の制作に取り組むが、次第に抽象形態へと移行し、ついには陶磁器の実用性を否定したオブジェへと進む。1954年の個展では、オブジェとして自立した陶芸作品「ザムザ氏の散歩」を発表した。 八木は、「ザムザ氏の散歩」以来、無釉焼締、皺寄手、そして黒陶といった技法を用い、土の構築から焼成まで自己の意図を貫徹させることを旨とした。
本作品「頁1」は、1970年代に「本」「手」「顔」など具体的なものをモチーフとして制作された作品群のなかの逸品である。陶ならではの卓抜な表現によって、開かれた書物の量感と立ち上がった1頁のはかなくも凛とした有り様が見事に現出しており、一瞬を活写し悠久の時間を感じさせる名作として八木の「本」の代名詞となるに至った。「本」という身近な存在をモチーフに、陶の新しい表現を拓くことに挑んだ八木の発想の清新さが際立つ一作である。 八木は1972年の個展に向けて1年がかりで約50点の「本」を制作したが、「頁1」は、「頁2」「頁3」とともに個展に先立つ1971年10月、「現代の陶芸:アメリカ、カナダ、メキシコと日本」展(京都/東京国立近代美術館)に出品している。

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