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銀緑彩文扁壺

(ぎんりょくさいもんへんこ) Jar with silver and green pattern

栗木達介

(くりき たつすけ) Kuriki Tatsusuke
1988年
H 23.0cm W 38.3cm D 29.3cm

栗木は数えられるほどしか個展を開催しなかったことで知られる。画廊青での初個展、赤坂グリーンギャラリーでの4回の個展、そして名古屋松坂屋・大阪大丸・日本橋三越を巡回したデパートでの個展。この6回の個展と日展、朝日陶芸展、他の美術館等での特別展に出品されたものが栗木が自らの意思で世に出した作品の全てであり、寡作な作家であった。しかし個展のたびに進化した姿を見せ、見るものを沸かせた。1960年代のモニュメントや《あおい作品》の辺りは個性以上に時代性が色濃く表れた作といえるが、70年代の虹彩、黄釉、《しろと銀の作品》、76年の《這行する輪態》に連なるシリーズ、78年の黒釉銀緑彩と、のちの栗木スタイルへと確実に積み上げられている。1980年の赤坂グリーンギャラリーでの第1回個展に出された《黒釉銀彩文》から、82年第2回の《銀緑彩》、84年第3回の《銀紅彩地紋》、91年の《黄鱗紋》、96年の《形を離れる帯》、《組帯》に至るまでを追えば、栗木のひとつひとつ段階を踏んでいく堅実な変遷とそれに伴うストイックな作業とが明らかになる。
本作品は1988年に名古屋松坂屋から大阪、東京を巡回した個展に出品された作品である。この巡回展には、《銀紅彩地文陶》(風象)、同種の花器、《這うかたち 始源の呼び声》、《銀緑彩文陶扁壺》がそれぞれシリーズで発表された。《銀緑彩文陶扁壺》の多くが縦に長く立ち姿であるのに対し、本作は空豆状に横になった珍しい作品である。壺の口元の切り込み部の形状は、のちの《巻弁》や《組帯》へとつながる栗木ならではの造形である。

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