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上絵金彩妖怪図蓋物

(うわえきんさいようかいずふたもの) Lidded container with demon design, overglaze enamels and gold

成瀬誠志

(なるせ せいし) Naruse Seishi
19世紀後期
H 6.8cm W 15.6cm D 15.6cm

成瀬誠志(陶博園)によって上絵付けされた蓋物で、クリーム色の陶胎に細かな貫入のある透明釉が施された薩摩風の素地を使用している。その器面の内外を埋め尽くように傑出した細密画で、蓋表には紫の妖怪らしきを飛雲で取り囲みながら描き、蓋裏には不動明王、身の見込みには羅漢を、多くの仕者たちとともに絵付けしている。こうした上絵付については、細密なだけでなく白盛りや金の盛り上げなどによる高度な技法も併用されている。底部には赤絵銘の「陶博園」、蓋裏の仕者の一人がもつ巻子にも金彩の「陶博園」の文字が見られ、陶博園は同氏の工房名である。成瀬誠志は、現在の岐阜県中津川市出身で、明治初頭より東京へ移って薩摩焼風陶器を製作していたことから、エドワード・モースも東京薩摩の元祖として挙げている。後に中津川に戻って製作を継承しており、同地で完成をみた陶製の『陽明門』は、シカゴ・コロンブス博覧会への出品の際に破損したとはいえ、近代陶磁のなかでも出色の出来栄えである。一方、樋口一葉の兄虎之助が工房の職人として従事していたことから、『うもれ木』のなかにも成瀬の窯の様子が描写されていることが知られている。海外では、モース・コレクション(ボストン美術館)、ビクトリア&アルバート美術館などの所蔵ともなっている。

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